今回は、建売(分譲)住宅の購入において失敗しやすいポイントを紹介していきます。
「すでに建っている建物」を購入する建売住宅、なにもないところから設計していく注文住宅より良し悪しが判断しやすい、と思っていると注意です!
既に建っているが故に、注意しないといけないポイントがあります。
それでは、まず今回の記事のポイントです。
・耐震計算は、許容応力度計算で行われた耐震等級3なのか?耐震等級3相当は、耐震等級3ではない。 ・注文住宅と仕様が違う点はないか、確認する(特に断熱仕様・構造躯体) ・第三者機関でのチェックがされているか、確認する(住宅性能表示制度など) ・建売住宅に向いている方は、すぐ購入したい方や打ち合わせなどの手間を省きたい方に向いているが、他の方に買われるリスクを考えすぎて「慌てないこと」が大事です。 |
1. 建売(分譲)住宅で必ず確認すべきチェックポイント3つ
多くの方は学区や、住みたいエリアなどから、そのエリアにある建売を検討されると思います。
ただ、立地や周辺環境以外で、建物自体で確認すべきポイント、
「耐震性能」「断熱性能」「第三者機関のチェック」の3つを詳しくみていきましょう。
2. 耐震性能
住宅で最も大事にしなければならないポイントです。
これは注文住宅か建売か、どこの会社で建てているか、などは関係なく全ての住宅における最優先事項です。
万が一のときに、ご家族の命を守れるか否かの違いが出てくるため、妥協することはおすすめできません。
それでは、どういった内容を確認すればよいか?
答えは「許容応力度計算で導き出した耐震等級3をクリアしている物件かどうか」です。 |
この文言をメモして、そのまま建売を担当している住宅会社に聞いてみましょう。
「YES」という答えが返ってくれば、耐震設計はそれ以上ない強固な設計がなされており、地震の際の倒壊・損傷リスクは最小限であると考えてよいでしょう。
しかし、上記の質問の回答で、
「許容応力度ではなく壁量計算による耐震等級3です」
「構造計算までやらなくても、建築基準法自体はクリアしているから問題ない」
「耐震等級3相当なので大丈夫です」
「〇〇工法だから大丈夫」
「制震ダンパーが入っているから安心」
このような回答が返ってくる場合は、注意しましょう。
建築基準法自体が「甘い法律」であるという「不都合な事実」は、耐震設計に力を入れていない会社では触れたくない部分でもあります。
2-1. ダイシンホームは許容応力度計算で建売も全棟耐震等級3
ダイシンホームは、全棟でパナソニックのテクノストラクチャー工法を採用しています。
しかし、このテクノストラクチャー工法を採用しているだけで耐震に優れている、というわけではなく、当社の建売は注文住宅と同様、全棟で許容応力度計算による耐震等級3を取得しています。
また自社で完結した計算ではなく、パナソニックの専門部署が構造計算を行っており、自社都合の解釈などを一切行っていない点も他の会社との違いです。
また地震が気になった方は、合わせてテクノストラクチャー工法の特徴(基礎編)もテクノストラクチャー工法の特徴(応用編)もご覧ください。
3. 断熱性能
耐震に続いて、生活上の快適性を左右する「断熱性能」についても確認しましょう。
昨今は、断熱等級の見直しによって、長期優良住宅などの基準も改定されたことから断熱に関しては、住宅業界全体的にレベルアップが図られていますが、設計値は購入前に必ず確認することをおすすめします。
答えは「この家の断熱性能、UA値はいくつか」と、聞いてみましょう。 |
この文言をメモして、そのまま建売を担当している住宅会社に聞いてみましょう。
UA値(ユーエーち)は数値で表現されますが、愛知県であれば0.6台(W/㎡・K)以下であれば、断熱に関しては一定水準以上の性能があると思ってよいでしょう。
3-1. UA値にこだわり過ぎは選択肢を狭める
ただ、注意して頂きたいポイントは、ZEH補助金を取得する、もしくは長期優良住宅を申請するのであれば、0.6(W/㎡・K)を下回っていないといけません。
ただし、それらを提出しないのであれば0.6(W/㎡・K)を少し上回っていても、そこまで神経質になる必要はない、ということです。
耐震と異なり、例えばUA値が0.60と0.62で、体感上どれだけの差があるか?と言われると、わからないと言っても過言ではありません。
実際にHEAT20のG2グレード(0.4W/㎡・K相当)と、ZEH相当(0.6W/㎡・K相当)の断熱性能の比較差でも、冷暖房の効きが悪いと感じる方の割合の差は数%です。
断熱で失敗しないコツは?高断熱の効果と愛知県の最適バランスを探る!の記事で、詳しく解説をしていますので、ぜひご覧ください。
一定以上(ZEH相当)の性能は最低限必要ですが、数値にこだわりすぎると選択肢を狭める恐れもありますので、耐震以外の性能値は「程々」にしておくことをおすすめします。
4. 第三者機関でのチェックが入っているか
建売住宅で一番注意したいポイントは、第三者機関も入らず建てられた住宅です。
自社内部で完結した施工管理程、「甘い」ものはありません。
建売は建っている「現物」を確認できるメリットがある反面、近所で建築関係の方でない限り、建てている最中の施工管理がちゃんとされているか、は確認できません。
そこで、建売住宅でも建築の第三者機関でのチェックが入っているかどうかで、「設計された通りの施工がされているか」という確認ができます。
例えば、上記で解説した耐震性能も断熱性能もあくまで「机上の計算値」です。
計算上では耐震等級3であっても、部品が全て規定通り設置されているか?
計算上では断熱性能がUA値0.6(W/㎡・K)を超えていても、計算通りの厚さの断熱材が入っているか?
これは建ってしまうと壁の中に隠れてしまう部分の為、建売(分譲)住宅購入の落とし穴でもあります。
第三者機関でのチェックがされている場合、特に住宅性能評価の場合は、「設計」と「施工」の両方を取得していないと意味が半減してしまうため、住宅性能評価を取っている会社の場合は「設計」と「施工」の両方かどうか?こちらも確認しましょう。
4-1. テクノストラクチャーはパナソニックのチェックが必須
テクノストラクチャー工法の場合、パナソニックが構造計算を行うのはもちろんですが、構造計算で算出した性能が担保されるように、パナソニックの施工監理担当者のチェックを全棟受けます。
特に地震の際にエネルギーが集中しやすい接合部については、ボルトの必要数、ボルトの締め圧力まで入念なチェックが行われます。
5.まとめ
注文住宅より建売住宅に向いている方は、すぐ購入したい方や打ち合わせなどの手間を省きたい方に向いていると言えます。
ただし、一方で土地購入と同じように他の方に買われるリスクがあり、気に入ったエリアで価格も手ごろな建売であれば、すぐに購入しないと、と慌ててしまう方もいらっしゃいます。
エリアや価格に引っ張られて、本来の新築住宅として大事なポイントを見落としがちである点は、建売(分譲)住宅ならではの失敗ポイントです。
建売の購入で失敗しないためのポイントとしては、建売であっても家族の命を守るための最低限のことが成されているか?のチェックは必要と言えます。