今回は、パナソニックのテクノストラクチャー工法の欠点と思われるポイントを、加盟店が自ら解説していきます。

テクノストラクチャー工法についてネガティブな噂を聞いたけど大丈夫?と思われている方や、どの建築工法がいいか迷っている方にピッタリの内容になっています。

 

テクノストラクチャー工法のリアルな実態を、わかりやすくお伝えします。

それでは、まず当記事のポイントからみていきましょう。

 

 
・テクノストラクチャーで欠点と言えることは構造計算(許容応力度計算)に費用が掛かること。 ただし、一般的な設計事務所などと比べても安価な価格で提供しています。
 
・結露の心配は不要、鉄骨には断熱材を充填し、熱橋対策もしっかり施してある。
 
・間取りには当然制約があり、リフォームの際においても抜けない柱や壁は存在します。 ただし、テクノストラクチャーは最大スパンが長いため、リフォームを前提としたプラン作成はしやすい。
 
・構造計算の計算結果を忠実に再現し、耐力の安定性を優先することから、柱は「集成材のみ」で、桧や杉の無垢材を使うことはできない。
 

 

1. デメリットは構造計算の費用

 

 

まず、テクノストラクチャーのデメリットは「構造計算の費用」です。

一般的に建物の耐震性を計算する方法は2つあり、詳しく計算する「構造計算」と、簡易的な計算である「壁量計算(仕様規定)」に分類されます。

現在の建築基準法ではどちらの計算でも申請の通過自体は問題ありません。

 

しかし、例えば壁量計算では耐震等級3の判定となっていても、許容応力度計算を用いた構造計算では耐震等級3を満たしていない、という判定が出ることもあり、計算方法の違いによる精度の違いは存在します。

 

テクノストラクチャー工法では、パナソニックによる構造計算(許容応力度計算)を必須としており、388項目にわたる詳細な計算をしています。

そのため、費用を頂いて「しっかり」計算を行っているがゆえに、設計にかかる費用が発生します。

 

1-1.耐震にかかる設計費用を請求しない会社もある

一般的な工務店であれば、このような設計費用(耐震にかかわる計算)を請求しない会社もあります。

 

もちろん、安いに越したことはありませんが、そういった会社のほとんどは「構造計算」を行っていません

一般的な木造の1~2階建ては「構造計算を省略して、簡易的な計算でもいい」という規定になっており、これを通称「4号特例」と言っています。

(実は現在廃止の議論がされ始め、2025年に廃止の方向が決定

簡易的な計算である、「仕様規定」もしくは「壁量計算」は、A3の用紙1~2枚程度の机上の計算で済んでしまいます。

 

また、現在の法律では計算は建築士に一任されており、第三者機関がチェックすることなく、その簡易的な計算ですら提出は任意です。

そのため簡単に手計算するだけであり、費用をかけなくても確認申請自体を通過させることは可能であり、費用を取らないことが安心かどうかは疑問です。

 

1-2. 構造計算の費用の相場は約30~50万円 

 

一方、構造計算は専用のコンピューターによって、複合的に多くの項目が計算されます。

そのため、無料で行っている会社はほとんどなく、一般的な相場は約30万円~50万円となっています。

大切な家を細かくチェックするため、実際にそのくらいの価値がある計算として、その相場観が設定されています。

 

なお、ダイシンホームでは1棟15万円の費用で運用しており、相場よりも低めの設定にしているとは言え、無料ではない点はデメリットと言えるのではないでしょうか。

 

2.テクノストラクチャー工法は結露で錆びる?答えは「NO」

 

 

よく質問を受ける2つ目の懸念点は、鉄骨が結露によって錆びないの?という点です。

結論から申し上げると、H鋼に断熱材が充填されており、熱の伝わりを一般的な鉄骨に比べて緩やかにしていますので、結露が発生することは相当考えにくいです。

また、もし結露などで濡れたりしても、鋼材の表面は溶融亜鉛メッキ塗装となっているため、錆に至る可能性はかなり低いと言えます。

 

一般的な鉄骨住宅全般にも言えることですが、このような結露や錆対策はしっかりされているので、心配不要です。

 

2-1. 結露が発生する要因

 

結露とは、冷たい水が入ったコップの周りに水滴がつくように、空気中の水分が液体となって現れる現象です。

ガラスなどのコップに、冷たい飲み物を入れると、コップの表面に水滴がつきますよね。

この例で解説すると、空気は水分を含んでいます(湿度)が、この空気中に含むことのできる水分量は、温度によって変わります。

 

温度が高くなると含むことができる水分量が多く、温度が下がると含むことができる水分が少なくなります。

冷たいコップの例では、コップのまわりで空気が冷やされ、暖かい空気が急に冷やされてます。

そうすると、空気中に含んでいた一部の水分が、空気に溶けきれなくって液体化し、コップのまわりが濡れてくるわけです。

 

テクノストラクチャーに限らず鉄骨住宅の場合、冬季・夏季の両方における結露の懸念があり、特に冬季が懸念事項ですが、この結露の原因となる「温度差」を断熱材によって防止しているので心配不要です。

 

3.テクノストラクチャー工法はリフォームがしにくい?答えは「NO」

 

これはどの工法を採用しても同じであり、テクノストラクチャーに限ったデメリットではありません

戸建ての約7割が木造の在来軸組工法ですが、この工法でも耐震に関する規定を満たそうとすれば、間取りにおける制約は出てきます。

 

鉄骨で耐震性能を訴求している会社ですら、間取りによっては抜けない柱や壁は出てきますので、特にリフォームがしにくい・しやすい、という観点で工法を選ばない方がよいでしょう。

 

3-1. テクノストラクチャーの最大スパンは最大10m

 

 

テクノストラクチャー工法では、梁で最大10mまで柱がない空間を創ることができます

 

一般的な木造の場合、約5.4mが一般的な限界とされており、部屋の大きさの制限やリフォームによる改築で抜けない柱・壁がネックになる可能性が高いです。

 

一方、テクノストラクチャー工法では、リフォームで部屋を変える可能性があることが分かっていれば柱がない空間を自由に設計できるため、可変性の観点から見ても有利と言えます。

 

4. テクノストラクチャー工法の柱は集成材のみ

 

 

テクノストラクチャーは、梁に鉄骨と木材を組み合わせた専用部材を活用している工法ですが、柱に関しては一般的な在来軸組工法の柱と同様の柱を使用しています。

ただし、一般的な木造との違いは無垢材を使うことができないことです。

 

最近は一般的な木造でも集成材を使う方が多いですが、一部ではヒノキや杉材の無垢材を活用している会社もありますので、無垢材志向の方にとってテクノストラクチャー工法は向いていないでしょう。

 

4-1.集成材を使う理由

 

理由は、設計したとおりの耐震性能を実現するため、です。

テクノストラクチャー工法は、構造計算を行う耐震等級3を基本にしていますが、それはあくまで机上の計算です。

設計したとおりの家を建てないと「絵に描いた餅」になるため、柱や接合部に関しての精度について細かい規定があります。

 

そのため、湿気や経年で変化の大きい無垢材は、設計値を実現するためには適していなく、加工されて “ 狂い ” の少ない集成材を必須としています。

室内の目に見える床材や壁材に無垢材を使うことは問題ありませんので、無垢の肌さわり・質感を希望される方は床材などに活用することがおすすめです。

 

5.まとめ

 

テクノストラクチャー工法に関する欠点とよく聞かれるポイントを中心に紹介してきました。

改めて、復習してみていきましょう。

 

 
・テクノストラクチャーは構造計算(許容応力度計算)に費用がかかる。
・結露の心配は不要(他の鉄骨工法と同様・むしろ断熱材を付加している)
・間取りには当然制約がある(他の工法と相違はない・むしろスパンを飛ばしやすい)
・構造計算の計算結果を忠実に再現するため、柱は集成材のみになる
 

この4つのデメリットを踏まえて、他の工法と比べてみましょう。

耐震に関しては、下記でも詳しく紹介していますので、さらにテクノストラクチャー工法を知りたい方は、こちらも合わせてご覧ください。

 

テクノストラクチャー工法の特徴(基礎編)

テクノストラクチャー工法の特徴(応用編)

【碧南】後悔しないための建売(分譲)住宅の耐震設計の見極め方

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