3月頃~初夏にかけて、花粉症の方には辛い時期ですよね。
家の中だけでも花粉症から解放されて、安心して暮らしたい方にぜひ採用してほしい換気設備の紹介をしていきます。
今回は花粉症の方、そして光熱費を抑えたい方や幹線道路の近くにお住まいの方など、住んでから満足度の高い「熱交換型1種換気システム」についてです。
まずは、今回の記事のポイントです。
・換気をしっかり行うことで人体にも、建物にも良い影響が出る ・熱交換型の換気システムでは、年間で1.2万円以上の光熱費を節約できる可能性がある ・換気で室内のホコリを減らしたり、騒音対策にもなる ・コストは3種換気に比べれば高いですが、ぜひ導入をオススメしたいアイテムの1つ |
1. 換気の重要性
換気は一見、地味なポイントで新築を考える方でも、あまりご自身で選ぶことがない部位です。
しかし、人は1日に約18リットルもの空気を体内に取り入れており、空気環境を良くすることは、人の健康と家の長寿命化に繋がる重要な設備です。
この換気が、人と家にどんな影響を及ぼすか?をまずみていきましょう。
1-1. 換気が人に与える影響
昨今、コロナ禍でも注目されている換気ですが、換気設備は住宅に必ず設置しないといけません。
必要な理由は「室内の有害物質を屋外へ排出するため」です。
シックハウス症候群という病気(アレルギー)という歴史的な背景があり、建築基準法では2時間に1度以上、部屋の空気を入れ替えないといけない基準が定められています。
昔の家では、建築資材に人体に有害な物質が含まれており、新築に住むと体調を崩す人が続出して社会問題になったことがありました。
現在では、国内で流通する全ての建築資材に有害物質が飛散しないような対策(F☆☆☆☆材)が施されており、こういったリスクは極めて低くなっています。
ただ輸入家具などはこの対象外になっていたり、それ以外にも室内にはカビ胞子・ホコリ・様々なニオイで室内環境が悪くなりがちのため、換気は1年中しっかりする必要があります。
また、人は生活している限り息をしてCO2を排出します。
このCO2も蓄積し過ぎると実は有害な物質となります。
定期的に空気を入れ替えることは、人体に有害な物質を取り込まないために重要な要素です。
場合によっては、換気不足がアトピーや喘息の原因となっていることも考えられなくはないのです。
1-2. 換気が建物に与える影響
新鮮な空気に常に入れ替えることは、家の寿命を長持ちさせます。
家の大部分は木で構成されていますが、木は湿気に弱いという側面があります。
換気はこの湿度管理という側面で大事な役割を果たしますが、一番住宅で怖いポイントが「壁内結露」(内部結露)という現象です。
特に冬季に発生しやすい事象ですが、室内の湿気(料理や加湿器、人体から出た湿気)がコンセントの穴などの隙間から壁の中に入り込み、外気で冷やされて壁の中に結露が発生するというものです。
壁の中が結露で濡れてしまうと、そこからカビが発生したり腐食が始まりますが、壁の中のため発見が遅れる可能性が高いです。
新築して数年で壁の中が結露でカビだらけになってしまうこともある壁内結露ですが、この原因としては、隙間があることと換気不足と言われています。
建築では隙間なく施工することは非常に難しいですが、換気をしっかりして室内の空気を常に入れ替えることで防止できる可能性が高いです。
1. 1種換気と3種換気のちがい
それでは換気の主に2つの方式の違いや特徴、メリット・デメリットをみていきましょう。
ちなみに、一般的なエアコンでは換気はできませんので、換気には換気扇が必要です。
1-1. 3種換気とは
一般的に多い換気方法は3種換気で、トイレやお風呂の換気扇から空気を排出し、リビングなどの給気口から室内へ外気を取り入れる方式です。
この3種換気のメリットは、換気設備にかかるコストが安い反面、リビングなどの給気口から外の空気が「そのまま」入ってきます。
当然、季節によっては花粉などもいっしょに入ってくるため、室内にいても花粉症が軽くならない方は、新築する際にはフィルターがある換気方式をオススメします。
上図のように室内に入ってくる花粉の約6割は換気口から侵入してくるため、換気時にフィルターを通過させる重要性が見えてきます。
一般的な3種換気の場合、空気を取り込む給気口には簡単なフィルターがついていますが、花粉のような微粒子は防げません。
また、3種換気のもう1つのデメリットは「換気がしっかりできないこと」です。
机上の計算では空気を入れ替える計算になっていますが、現実的にはトイレやお風呂の小さな換気扇では家じゅうの空気を隅々まで入れ替えていれません。
1-2. 1種換気とは
一方、1種換気は換気扇で給気と排気を行う換気方式です。
空気を取り入れるときも換気扇を使って、排出するときも換気扇を使います。
これによって、部屋の空気を計画通り換気することができます。
また、機種にもよりますが、ダイシンホームでオススメしているパナソニックの換気システムは、高性能フィルターを搭載しており屋外から入ってくる花粉を99.9%除去して室内に取り入れてくれるため、清潔な状態で室内の空気が保たれます。
そして機械で給気も排気もしている大きな効果は、計画通りに空気がしっかり流れることです。
換気が人と建物に与える影響で説明した事象は、換気不足が原因で起こることも十分考えられるため、1種換気を採用することで様々なリスクを減らせます。
ただし、3種換気に比べてコストは上がってしまいます。
◆コラム ~ ダクト式換気のよくある勘違い ~
たまにダクト式換気は、ダクトにホコリが溜まって不潔と聞きますが?という質問を受けますが、結論から申し上げるとそれは「誤り」です。
上記の汚い写真は、RAダクト(室内から室外へ向かうダクト)の事例です。
RAダクトは室内のホコリを吸って排出するため、ダクト内にホコリが溜まりますが、空気が常に外側へ流れているため、このホコリが室内に逆流してくることはありません。
2. 熱交換とは
つづいて、熱交換について説明していきます。
熱交換とは、換気の際に空気を交じり合わせることなく、「室内の温度(湿度も)」と「室外の温度(湿度も)」をお互い伝える仕組みです。
上図(冬季の場合)で解説すると、20℃の室内の空気が排出される際に、熱交素子(そし)を通過します。
熱交素子には、例では0℃の外気を同時に通過させます。
この時に、素子は「互い違い」の構造になっており、それぞれの空気が交じり合うことなく空気が通過します。
この熱交素子では、表面積が大きい構造になっており、素子を通過するときにそれぞれの温度差があるときに、熱(熱交素子の種類によっては湿気も)を伝えます。
熱は熱い方から、冷たい方に移動する仕組みがあります。
熱交素子は、空気を通過させずに熱だけ通過させる構造です。
3.熱交換型1種換気のメリット
それでは、最終的に「熱交換型の1種換気」を導入すると、何がいいの?というポイントです。
・エアコンの負荷を下げ、光熱費を約3割節約! ・フィルターを通過させているため、花粉症の軽減や室内のホコリを減らします。 ・空気をしっかり入れ替えており、部屋のニオイがこもりにくい。 ・給気口で居室に穴が開かないため、気密性がよく騒音も出入りしにくい。 |
3-1. エアコンの光熱費を3割削減
熱交換の効果ですが、エアコンにかかる負担を減らすことができます。
愛知県と気候が似ている東京での試算です。
エアコンにかかる光熱費を、間欠運転でも年間で約1.2万円削減することができますので、初期費用としては少し高いシステムですが、住んでから安く住めるシステムとして人気が高まっています。
3-2. 室内のホコリを少なくする
上記の花粉の話しで解説したとおり、部屋に入ってくる花粉は、換気口から入ってくる割合が約6割です。
花粉の調査ですが、これは黄砂などの微粒子も同じで、この微粒子の取り込みが少ないと、部屋のホコリが少なくなります。
ブラインドに積もっているような細かいホコリが減ることで、掃除がラクになるだけでなく、アレルギーなども軽減される可能性も少なくはないでしょう。
◆お客様の声:じめじめ感から解放された
新築して1年経ちますが、今年は眼科や耳鼻科などの病院や薬のお世話にならずに過ごせました。お好み焼きパーティーや部屋干しなどのニオイもこもらないんです。
外から花粉を入れずにきちんと換気してくれる熱交気調システムを採用して本当によかったです。※コメントは個人の感想です
(出典:パナソニック納入事例)
3-3. 部屋の籠り感が減る
隅々まで換気がしっかりできていることで、梅雨時期のジメジメやよどみ感が軽減されます。
◆お客様の声:じめじめ感から解放された
以前の家は風通しが悪く、じめっとした感じが気になりました。
新居では家全体が換気されていることから、そういった不安がなくなり、以前の暮らしが嘘のようです。
(出典:パナソニック納入事例)
3-4. 給気口がないため騒音対策になる
3種換気では、給気口で外壁面に穴があきます。
幹線道路沿いにお住まいの方であれば、外から入ってくる騒音をシャットアウトするため、そして小さなお子さんがいる家庭であれば、部屋の中で騒がしくする音を室外に漏らさないため、にダクト式の1種換気は有効です。
4.まとめ
少し長くなりましたが、1種熱交換気のメリットは伝わりましたでしょうか。
初期コストは少し高額になりますが、日々の細かい部分で人体・建物、そして生活に与える影響は小さくありません。
なかなか空気は目に見えず、わかりにくい部分ではありますが、換気設計にこだわっていくことでメリットは多くあります。
特に花粉症で悩まされている方、光熱費が気になる方、幹線道路沿いにお住まいの方などは効果としては大きいので導入を検討してみても良いでしょう。