今回は、2024年度(令和6年度)の住宅に関する補助金情報を先取りしていきます。
せっかく新築するのであれば、この記事を参考に補助金を有意義に活用した家づくりをしていきましょう。
それでは、今回の記事の要点から見ていきましょう。
・ZEH補助金は、23年度と同様の内容かつ、補助金額も55万円/戸になる予想 ・ZEH補助金を使うのであれば、HEMSとEV(電気自動車)用のコンセントを設置してZEH+として100万円の補助金を狙った方が良い(一次エネ削減率は25%以上必要) ・工務店によっては、地域型グリーン化事業の枠を持っている場合もあり、時期と枠が当てはまるか?確認してみましょう。 ・太陽光発電を8kW以上、大容量に搭載するのであればLCCM住宅で140万円の補助金を狙いに行く選択肢もある |
1. 2024年度(令和6年度)の住宅補助金の予測
毎年、8月の終わりになると、各省庁が財務省に対して次年度の予算枠を要求する「概算要求」があります。
住宅に関する省庁は、国土交通省・経済産業省・環境省の3つですが、これら3省庁の概算要求を確認することで、次年度にどんな住宅補助金があるか、が分かってしまいます。
そのため、今回の記事でご紹介する内容も、あくまで概算要求に記載されている内容を基にした“予測“になります。
1-1. 住宅補助金のキーワードは「省エネ」
新築でもリフォームでも、共通するキーワードは「省エネ」です。
断熱性能がいい家、電気をあまり使わないエコな設備が導入されている家、全て目的は省エネです。
これは、日本としてもパリ協定に目標として掲げられているCO2削減量の目標達成をするため、エコな住宅を増やしたいという国の意図があります。
そのため、高い断熱性能にするための費用、省エネ性が高い設備の導入費用、そして太陽光発電システムや蓄電池などの電気を自給自足するシステムに対して補助金が出るようになっています。
1-2. 新築はZEH
新築ではZEH(ゼッチ)と呼ばれる、一定以上の断熱・省エネ性が担保され、かつ太陽光発電で電気を創ることができる家が主流です。
愛知県では、下記の条件を満たすとZEHとなります。
1:UA値で表現する断熱性能が0.6W/㎡・K以下であること 2:省エネ機器(冷暖房・給湯機器・照明・換気機器など)が基準から20%以上(ZEH+は25%)エコなシステムを導入していること 3:太陽光発電で年間で使うと想定されるエネルギーを帳消しにできること |
主に、この3つの条件を満たした家がZEHと呼ばれています。
なお、ダイシンホームでは太陽光発電が載れば、多くの分譲住宅がZEH仕様になっています。
1-3. リフォームは断熱窓
続いて、リフォームのトレンドは「断熱窓」です。
昔の家はガラス1枚のアルミサッシで、窓の近くは冬は寒く、夏は暑いという状況でした。
昔の家では熱の出入りは主に窓からとなっており、この窓の性能を上げるリフォームをすると家全体の省エネに直結してきます。
そのため、この2年ぐらい前から、断熱性能が高い窓リフォームに対して補助金がつき、人気が高くなってきます。
2. 2024年度(令和6年度)の補助金の概要
2-1. ZEH補助金(環境省主導)
環境省が主導しているZEH支援事業では、下記のような補助金が見込まれています。
・ZEH:55万円/戸
・ZEH+:100万円/戸
ZEHとZEH+の違いは、ZEHとしての基本条件に加え、25%以上の一次エネルギー消費量削減の実現を行い、下記の3つの条件のうち2つを追加するとZEH+と認定されて補助金額がアップします。
【ZEH+になる要件 ※この中から2つを追加で満たすこと】
1:外皮性能のさらなる強化 2:高度エネルギーマネジメントの導入(HEMS) 3:電気自動車(EV)を活用した充電設備の導入(200Vのコンセント) |
これら3つの選択要件のうち2つ以上を採択することが要件です。
2-2. ZEH+で選ぶべき項目
上記で記載したZEH+の3つの要件のうち、選ぶべき項目はこちらです。
【コスト優先の方】 2:高度エネルギーマネジメントの導入(HEMS) 3:電気自動車(EV)を活用した充電設備の導入 |
この組み合わせであれば、合計15万円程度のコストで100万円の補助金にグレードアップします。
電気自動車の充電設備と聞くと、大がかりなものを想像しがちですが、200Vのコンセントを設置するだけです。
また、建築時点でのEVの所有は関係ないため、EVを持っていなくてもコンセントがあるだけで要件としてはクリアします。
【快適性優先の方】 1:外皮性能のさらなる強化 3:電気自動車(EV)を活用した充電設備の導入(200Vのコンセント) |
断熱性能をHEAT20・G2グレードにグレードアップするという方法でもOKです。
住宅会社の標準仕様が既にG2グレードの場合は、これで要件を満たしてしまいますが、グレードアップになる場合は100万円程度のコストアップになる可能性が高いため、補助金額とのバランスも検討しましょう。
3. 地域型グリーン化事業・LCCM住宅
新築向けの補助金では、ZEH住宅がもっとも一般的な補助金ですが、一方で表題に記載した「地域型グリーン化事業」「LCCM住宅支援事業」という補助金もあります。
これらの住宅がどういった住宅なのか?
そして、補助金の額や条件等もみていきましょう。
3-1. 地域型グリーン化事業
地域型グリーン化事業とは、中小工務店(年間棟数50棟以下)向けの補助金政策で、一定の省エネ性を満たす住宅に140万円/戸の補助金が出る制度です。
一定の省エネ性とは、ZEHと同じ断熱性能・省エネ性を担保することが条件です。
地域型というのは、地域ごとの木材を地産地消する項目があり、地域材を使うことで補助金の金額が加算される特典があります。
ただし、ZEHに比べてあまり聞かない理由は、もらえるかどうかがお施主様で決めることができないからです。
この地域型グリーン化事業は、例えばパナソニック・ビルダーズグループといった枠の中で、複数の住宅会社がその補助金の条件(仕様やスケジュール)が合ったものがある場合に、割り当てられるような方式になっています。
また、この枠も全ての工務店の全ての着工予定の物件数の枠があるわけではないため、この補助金は自分でわざわざ狙って取りに行ける補助金ではありません。
そのため、一般のお施主様については頭の片隅に入れておくぐらいで良いでしょう。
3-2. LCCM住宅
LCCMとは、ライフ・サイクル・カーボン・マイナス住宅、すなわち建てる時~家に住み~解体するときに至るまで、CO2を実質的に出さない家、という意味です。
CO2を全く出さずに生活をする、というのは不可能なので、実際には建築時のCO2・住んでいる時のCO2・解体時のCO2、全てを合算した排出量より、太陽光発電などで創るエネルギーの方が大きい、実質的にゼロ以下になっている家のことです。
このLCCM住宅では、23年度同様、2024年度も140万円/戸の補助金が予測されており、ZEH+に比べても補助金額が高い制度です。
しかし、LCCM住宅はZEHに比べて条件が厳しく、長期優良住宅の認定が必要であったり、ZEH住宅より太陽光発電をたくさん搭載する等、スペックを高くしないと条件を満たすことができません。
そのため、元々太陽光発電を大容量に搭載する方で、長期優良住宅の認定取得も考えている方であれば、活用してもよい補助金であると言えます。
4.こどもエコ住宅支援事業の継続は?
さて、新築を考えている方の中には、「こどもエコ」という補助金を聞いたことがある方も多いでしょう。
「こどもエコ」は、ZEHなどと異なり「補正予算」、つまり臨時で組まれた予算の中での補助金制度のため、このブログを書いている23年9月時点では、延長もしくは新しい補助金制度に引き継がれるかどうか?は未定です。
元々が臨時予算のため、今年度もこの臨時である補正予算で住宅補助金が入り込むかどうか?は判明次第、こちらの住宅豆知識で紹介していきます。
5.まとめ
24年度(令和6年度)の概算要求からは、23年度の住宅補助金と同様の制度がおおむね引き継がれていく形が読み取れます。
実際に、今回紹介した補助金制度は2024年の4月からスタートする形になりますが、その時点においては建築する住宅会社が決まっていることはもちろん、間取りや仕様まで決まっていないと補助金の申請ができません。
補助金を上手く活用して家づくりをしたい方は、ぜひこの秋から冬にかけて、検討を具体的にすすめながら、補助金が取れるような住宅を検討してみましょう。